登山って楽しいの?という人に向けた、登山の魅力について

登山技術

登山を普段しない人から「登山ってつらいのに何でやるの?何が楽しいの?」という言葉をよく耳にします。確かにつらい登山のときもあります。万人が必ず楽しめる、といえるわけではありません。
それでも、登山が好きな人はたくさんいます。つらい経験があっても、なぜだか山に行くたくなる…そんな人も多いのです。

ここでは、登山に少し興味を持っている人に向けて、登山を始める動機づけのために登山の魅力をお伝えしたいと思います。

登山の魅力【旅行+スポーツ+生活】

北アルプス 涸沢ヒュッテのキャンプ場

「登山」というもののジャンルは何なのでしょうか?旅行なのか、スポーツなのか。そこに登山の面白さがあるように思います。私の登山に対する捉え方は、旅行+スポーツ+生活(テント泊)です。

まず「旅行」としての楽しみ。見たことのない景色を見る、現地で出会った人と交流する、非日常空間を味わう。登山ではこのような旅行と共通する部分が多くあります。旅行に色々な目的や種類があるのと同じように、登山にも色々な楽しみ方が存在します。

次に、体を動かす=スポーツと捉えたとき、達成感や仲間との苦労の共有、体を動かす爽快感、健康維持、こういった楽しみがあります。

最後に、「生活」はテント泊をイメージしています。普段の何でもそろっている生活から離れ、狭くて必要最小限のものしかないテント生活。そんな不便の中で、快適に過ごすための工夫を楽しんだり、何もないからこそ「無」になって自分と向き合えたり、「不便が楽しい」と思えたりするものです。そして不便生活から日常生活に戻ると、その反動で日常に幸せを感じたりします。

このように、登山は様々な要素が複合して、「楽しい」という感覚になるものです。

楽しみ方は十人十色【老若男女、人それぞれ】

同じ「登山」をしている人でも、その目的やスタイルは本当に人それぞれです。初心者からエキスパート、子供からご年配の方まで、さまざまな形で登山を楽しむことが出来ます。

■自然の中を歩く「非日常空間」
コンクリートジャングルの中で奮闘する日常から離れ、山の中へ。緑に囲まれ、鳥のさえずりや川のせせらぎを聞き、壮大な景色を堪能する。
これらの非日常的な体験は、仕事や人間関係の悩みも忘れて心身ともにリフレッシュさせてくれます。自然の中の空間を五感で感じとるというシンプルな楽しみ方は、登山の醍醐味と感じている人は多いです。

上高地を歩く

■高山植物や野生動物
高山植物は森林限界より高い場所に生息している植物のことです。コマクサやニッコウキスゲなど、山でしか見ることのできない植物を求めて登山をする方もいます。
また、野生動物にもタイミングが合えば出会うことができます。カモシカ、雷鳥、オコジョ、サル…これらの動物の野生の姿が見られるのは、貴重な体験になるでしょう。

コマクサ 燕岳にて

■満点の星空
田舎で星空が見えやすいのと同じように、晴れの山の中では驚くほどきれいな星空を見ることが出来ます。山で泊まる醍醐味の一つです。タイミングが良ければ、流星群が見えたりするかもしれません。

■達成感
頂上まで登りきったとき、無事下山したとき、難しいルートを走破したとき。普通の旅やスポーツと違い、登山では達成感を感じる機会は多いです。
登山はつらくてしんどい時もありますが、山頂に着けばその疲労感は達成感に変わります。だから登山のつらさは、楽しさにもなり得るのです。そして
この達成感は、快感として感じるだけでなく、成功体験として自分の自信にも繋がり、きっと日常生活にも良い影響を及ぼすはずです。

■「登る行為」自体が楽しかったりする
初心者のうちは、ある程度整備された「登山道」を歩くことになりますが、レベルが上がっていくと、岩稜帯を歩いたりクライミングをしたり、雪をかき分けて登ったりします。すると、けっこう「登る行為」自体が楽しかったりします。これはやってみないとわからない感覚かもしれませんが、体験するとその楽しさを感じてくると思います。

北アルプス剱岳 チンネ左稜線でクライミング

■山の中での食事、コーヒー、お酒
登山に慣れてくると、山の中で食事やコーヒー、お酒をたしなむようになります。やはり自然の中での食事は気持ちのいいものです。

山小屋にて、もつ煮とビールをたしなむ

■下山後の温泉
登山のオプションとして、温泉は欠かせません。登山してヘトヘトの状態で入る温泉は、まさに格別です。下山後にふらっと寄った温泉が、秘湯だったりもします。

登山を通じて得られるもの

登山で培われる知識や経験は多岐にわたり、日常生活にも活きてきます。それは、登山が自然というフィールドで行うものだからでしょう。登山を通じて何が得られるか、紹介していきます。

■登山知識が災害時や日常にも
登山を続けていると、天候変化に対応する力やケガの応急処置の知識、テント内で限られた用具で工夫して生活する力、こういったものが身に付きます。また、登山という不便な環境下での経験は、精神を図太くしてくれます。
これらの様々な状況に対応できる力は、災害時にも必ず力を発揮できると思います。また、災害時だけでなく日常生活にもきっと役立つことと思います。

■計画力、判断力、マネジメント力、やり遂げる力
登山はまず綿密な計画を練ることから始まります。そして、現地での状況判断、パーティの意思決定、下山するまで歩き切るといったプロセスがあります。これらの経験を通じて、自分自身の計画力、判断力、マネジメント力、やり遂げる力が身についていきます。私見ですが、これらの能力は仕事でも重要な要素だと思いますので、登山を通じて仕事の能力も仕事に向き合うメンタルも向上すると感じています。

■何歳からでも、健康づくりのために
登山はどんな年齢の方でも、それぞれに合った楽しみ方やレベルがあります。自分の歩けるレベルの山を選んで、自分の行けるタイミングで、一人でも複数人でも、行くことができます。気軽に長く楽しめるのも登山の魅力の一つです。

「歩く」ことは非常に健康に良いことが科学的に立証されています。その「歩く」ことを自分のペースで無理なく、楽しく続けられるのが登山ではないかと思います。登山で体力をつけられれば、普段の生活も疲れにくくなります。
私は登山をやらない方から、「そんなに登山できるなんて、体力あるね」と言われることがあります。でも違うのです。体力があるから登山をしているのではなく、登山を続けているから体力があるのだと思います。

続けることで、広がっていく山の世界

登山を始めるときは、まともな装備も知識もなく、よくわからないまま日帰り登山に行くものです。はじめのうちは、普通のスポーツウェアに動きやすいスニーカー程度で始めても良いと思います。

次第に、ガスバーナーをもっていってコーヒーを飲んだり、地形図を見て読図をしてみたり、写真に凝ってみたり、テント泊に挑戦したり。さらに続けていると、クライミングや雪山登山に興味をもって挑戦するかもしれません。こうやって、登山は続けていると、どんどんその幅を無限に広げていくことが出来ます。

私も登山を始めたころは、自分がクライミングや雪山登山をするとは思ってもみませんでしたが、すっかり深みにハマっています。幅を広げないとダメなんてことはもちろんありませんが、要は続けていくうちに興味も広がり、より深く登山を楽しめるようになるということです。

ぜひ気軽に、登山にチャレンジしていただけたらと思います。

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